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通常、専利局からのアクションがなければ、発明特許は4~5年、実用新案は6~8ヶ月、意匠は3~6ヶ月かかります。
中国への専利(特許、実用新案、意匠)出願は、直接出願と、パリ条約による優先権主張出願と、PCT(特許協力条約)出願との3つのルートがあります(ただし、PCT出願は、特許、実用新案のみ)。
電子回路は登録の対象となりません。その他、方法、化学品、薬、人体に直接使用する医療器具、平面デザインのみを特徴とする製品、複数の装置からなるシステムはいずれも保護の対象にはなりません。しかし、例えば、道路のインターチェンジの形状については登録可能です。原則目に見えるものは登録可能といえそうです。電子関係のデバイスでもパッケージ化され、そのパッケージの形状に特徴がある場合には登録可能です。
2001年10月1日に施行されました。半導体回路配置登録条例です。その特徴は、日本の法律と同じと考えてよいと思います。具体的には、半導体回路配置権の期限は10年とし、登録出願日と商業利用を始めた日(ビジネスとして初めて実施される日)のうちいずれか早い方から計算します。「商業利用」とは、商業の目的で、保護を受けるレイアウト・デザイン、当該レイアウト・デザインを含む集積回路または当該集積回路を含む物品を、輸入、販売又はその他の方式で提供する行為を指します。「商業利用を始めた日」とは、中国国内のみならず、世界中(いずれかの国)が基準となります。なお、いずれにせよ、半導体回路配置の設計完成日より15年後には保護の対象になりません。また、ビジネスとしてはじめて実施される日から2年以内に登録出願しなかったものに対しては、登録出願権がなくなります。
コンピュータプログラムそのものや、記録媒体(例えば、磁気テープ、磁気ディスク、或いはその他の読み出し可能な媒体)に記録されたコンピュータプログラムである場合、そのプログラム自身は、特許の対象とはなりません。 ただし、特許出願が、コンピュータにプログラムを入力して、プログラムによって制御される装置、又はプログラムによって制御される生産方法であれば、技術的な問題点を解決でき、技術的な効果を有するため、特許可能です。 この点、日本との取り扱いが異なるので注意が必要です。今後、中国に置いて、コンピュータプログラムや記録媒体が特許対象になるかどうかについては不明ですが、世の中のIT化の流れから見て、特許対象となるような方向で法改正などされるのではないかと期待されます。
なりません。
中国政府の認める国際的な博覧会に出品した作品、中国政府各部が認める学術会議において発表された論文について、6ヶ月の猶予期間(グレースピリオド)が認められます。
ありません。
中国の専利法では、出願変更については規定されておらず、特許、実用新案、意匠の出願の間で出願変更をすることはできません。
香港においては長期又は短期の特許権を取得することができます。長期特許権の場合は、中国本土の特許又は英国の特許出願の公開後6ケ月以内又は権利登録後6ケ月以内に香港において登録申請をすればいいのです。 また、短期特許権の場合は、中国又は英国の特許申請のサーチレポートを受け取った日からいつでも香港における登録申請ができます。期限は決められていません。
中国で生まれた発明または実用新案は、必ずしも中国で最初に出願しなくてもよいことになっています。しかし、当該発明又は実用新案を外国に出願する場合、事前に中国知識財産局に報告し、「保密審査」を経なければなりません。この規定に違反して外国へ出願した発明又は実用新案について中国へ出願した場合は、中国では権利が付与されません。なお、保密審査の結果は、申請日から6ヶ月以内に通知されます。一方、意匠出願については、保密審査をする必要がなく、直接外国へ出願することができます。
専利法実施細則では、国営の会社に対して、利益の3%を職務発明の発明者に支払うよう定めています。しかし、民営の会社では、利益の3%を支払う義務はありません。この額を参考にいくら支払うかを決めればよいのです。
確かに、中国知識産権局の審査期間は長いです(現状で5年以上かかります)。その主な原因は、ここ数年来、出願件数の急激な増加と審査官の人手不足だと言われています。最近、中国知識産権局は関係分野において審査官の人数を大幅に増加しました。また、約300人の第二審査チーム(補助審査チーム)を設立し、審査の迅速化を図っています。
今後、発明特許に対する審査期間は3~4年に短縮できるとの見通しです。
早く権利を取得しようとする出願であれば、出願人は早期公開の請求や実体審査の請求などを早めに行うように対処すべきです。市場での寿命が短く、技術開発サイクルが速い製品に対しては、できる限り特許(発明専利)出願と実用新案出願を共に提出し、或いは実用新案又は意匠だけを出願させるように対処すべきです。
中国専利法の規定によると、同一発明を同一出願人が同時に特許と実用新案の両方を出願した場合、抵触出願にならないため、同時に出願した実用新案で特許出願の新規性が否定されることはありません。
同日に提出する必要はありません。ただし、先に出願した特許出願又は実用新案出願が公開されていないことが前提条件です。
法律上、特許と実用新案は両方権利として存在できません。特許出願に対して特許権を付与しようとするとき、出願人には、実用新案権と特許権のどちらか一方を選択する権利が与えられます。つまり、先に登録された実用新案権を放棄すれば、特許権が付与されます。
特許と実用新案を同時出願する場合、クレームは広狭の差を設ける必要はありません。 なお、実用新案の請求項を作成するときは、なるべく保護範囲の広いクレームから保護範囲の狭いクレームまで、段階的にたくさん作成すべきです。 その理由は以下のとおりです。特許は、実体審査における拒絶理由に対応して各クレームを補正することができますが、実用新案は、実体審査がないため、無効宣告の無効理由に対応して広すぎるクレームを削除するといった補正しか認められないからです。
実用新案出願の特徴としては、実態審査は行われないので権利付与が速く、創造性の要求基準がそれほど高くない点などがあります。この特徴をうまく利用すれば、市場寿命が短く技術開発が速い製品を迅速かつ有効に保護することができます。現在の中国では、特許出願は出願日から権利付与まで4~5年かかります。これに対して、実用新案出願は出願日から6~8ヶ月で権利を取得することができます。実用新案の権利付与が速いという特徴を活用し、この権利をもって市場に出回る侵害製品を早期に差し止めることができます(仮処分の請求を含む)。つまり、特許出願と実用新案出願を共に提出することによって、先に取得した実用新案権をもって早期に権利行使することができ、後で取得する特許権をもって長期間(特許存続期間の20年)発明を独占できます。特許だけの出願に比べて有効な権利行使期間を3年間早めることができます。これは企業の模倣品対策として利用すべきです。また、実用新案出願の出願費用と年金は比較的高くないので、特許出願と同時に実用新案出願を提出することは、それほど出願費用を増加させません。また、実用新案の調査報告書の請求費用は特許出願の実体審査の請求費用よりも低いです。
実用新案権の調査報告書は権利付与の日から権利者より請求できます(権利付与前に調査報告書の請求はできません)。
通常、実用新案出願から権利付与までは6~8ヶ月かかります。そして、権利付与の日から権利者が調査報告書を請求すれば、中国知的財産権局より調査報告書が交付されるのはおよそ3ヶ月かかります。したがって、実用新案を出願してから調査報告書が交付されるまで最短でおよそ10ヶ月かかります。
特許権と実用新案権の両方を存続させることはできません。従って、特許の方が狭くなってしまうことは審査の経過の中で分かるはずですので、特許が拒絶される方向へ進めばいいわけです。特許権を選択せずに実用新案権を選択して残すのです。そうすれば問題ありません。もちろん、実用新案権の無効の問題は出てきます。仮に特許を成立させ、実用新案権を放棄した場合にも実用新案権者には故意又は過失はなかったのですから、ライセンス料等の返還の必要はないでしょう。このように考えるのが通説です。
中国では、意匠出願に対して実体審査を行いません。 中国特許法23条の規定により、意匠権を付与する意匠は、出願日前に国内外の刊行物上で公に発表された又は国内で公に使用された意匠と同一及び類似でないものでなければならず、また他人が先行取得した合法的権利と衝突してはなりません。「相対標準」というのは、意匠出願は出願日前に外国で公に使用された意匠と同一及び類似であるとしても、意匠権を付与することができます。
意匠保護の対象は製品の形状のデザインですが、著作権は作品自身が対象となります。著作権の権利行使はそれほど難しくないですが、他人の製品の生産を差し止めたいときは、著作権より意匠権のほうが行使しやすいです。
損害賠償請求も不当利得の返還請求も共に可能です。しかし、特許権者の損害が損害賠償によってすべて補填されたときは、それ以上の不当利得の返還請求はできません。不当利得の返還は特許権者の被った損害の額を限度として、請求が可能ということになります。通常の損害賠償訴訟において、損害が認定されると、それがすべての損害額ということになりますので、実務上不当利得返還請求はそれ以上不可能ということになります。
通常、無効審判の提起がなければ、1年以内に決着がつくのが普通です。しかし、無効審判が起こりますと、これに2~3年かかりますので、その分訴訟は遅れることになります。
専用品であって、他の用途がないとき、又は特許侵害に対して示唆があったときに間接侵害の規定の適用があります。例えば、特定の添加物を添加する食品の製造方法が特許されていたとします。その添加物によって食品の味が良くなる、保存が利くという効果があったとします。その場合、その添加物のみを製造販売する会社が添加物を売るについて、その性能を宣伝する行為は示唆になります。
中国の民事訴訟法によりますと、権利侵害行為があった場合、権利侵害行為地所在の人民法院がそれぞれ裁判管轄権を有する、とあります。
中級法院以上の裁判所には知識産権専用法廷を設けるなど、特許裁判を重視し始めましたが、人材と経験の不足のため、特許紛争に関する訴訟は未だ時間がかかるのが現状です。また、今のところ、日本語で判決文を入手することはできないようです。ただし、ジェトロが2002年3月に「中国の工業所有権侵害判例集」というものをまとめており、これが参考になるでしょう。